開催趣旨

近年の建築の設計プロセスにおける3D-CAD やBIM の利用は、意匠、構造、設備、施工の連携を強め、また、これまで不可能であった複雑な形態の構造物の建設も可能にしました。また、デジタル・ファブリケーションの技術が普及し、建築のデザインに大きな変化を与えつつあります。実現可能な建築表現の自由度が急速に増すなかで、建築物の形態をどのように決定すべきかという問題について、今後更に深く考えていく必要があります。

 本コロキウムは2006 年度から毎年開催しており、今年で18 回目を迎えます。これまでに、構造形態創生、構造最適化、アルゴリズミック・デザインといった建築構造物の形態を創り出すための理論・技術に関する研究や、実際のデザインへの応用事例などが数多く紹介され、活発な議論が展開されてきました。これらの理論・技術は一過性のものではなく、本質的なニーズの上に成り立った重要な建設技術であり、新しいコンセプトや最新のアルゴリズムなどを取り入れながら、議論を重ねて今後も発展させていく必要があります。

 本年度開催する「第18 回 コロキウム構造形態の解析と創生2023」では、これまでと同様に形態創生の理論・技術に関わる研究者、技術者が一堂に会して最新の情報を交換すると同時に、理論・技術だけでなく、それらを具体的な建築物、プロジェクトなどに応用した事例紹介についても議論することで、これらの研究・技術分野が益々発展することを期待して開催されます。

主催

構造委員会 シェル・空間構造運営委員会 構造形態創生小委員会
構造委員会 応用力学運営委員会 構造最適化と統合設計小委員会

後援

建築情報学会


開催期日: 2023年11月16日(木), 17日(金)
開催場所および方法: 1日目(11/16):建築会館ホール(対面形式)、 2日目(11/17):建築会館ホール(対面& オンライン併用形式)


コロキウムの内容

特別講演

 特別講演は初日に行われ、株式会社 ディックスの田村 尚土氏と株式会社 竹中工務店の木下 拓也氏が講演されました。
講演題目は、
田村 尚土氏が『構造エンジニアとデジタルエンジニアの協働』,
木下 拓也氏が『金属3Dプリンターの建築物適用への展望』
でした。

田村 尚土氏による特別講演
木下 拓也氏による特別講演

一般講演

一般講演は、2日目に行われ、30題の研究論文と6題の技術報告の発表が行われました。
コロキウム資料集(開催日の1年後に公開します)

第18回コロキウム構造形態の解析と創生2023 若手優秀発表賞

一般社団法人日本建築学会 第18回コロキウム構造形態の解析と創生 2023 実行委員会の厳正なる審査の結果、今年の優秀発表賞は下記の3名に決定しました(敬称略、発表順)。

 上條陽斗也(東京大学)
「プレストレス膜を用いた自己変形ベンディングアクティブ構造の自由曲面設計」

 北島千朔(九州大学)
「ハサミムシの後翅の展開図を用いた立体構造物の設計」

 長野容平(滋賀県立大学)
「膜テンセグリティ構造の形状解析および剛性評価に関する研究」

形態創生コンテスト

<コンテストの主旨>

 形態創生における種々のアイデアを適用して、建築空間や構造物などの「新しいかたち」や「独創的な形態創生手法」を提案いただくコンテストです。専門分野にかかわらず、多くの方々に参加いただいて、形態創生のおもしろさや可能性を感じていただければと思っています。本コンテストでは、形態創生のフリーウェアも提供しています。一方、コンピュータプログラムや汎用ソフトによらない手法で、「かたち」を創生するアイデアも可能です。多くの方々からの応募を期待しています。

<課題(テーマ)>

アジャイルなかたち
 アジャイルとは,ソフトウェア開発の手法であるアジャイルソフトウェア開発を起源とした,変化に対する高い適応性,柔軟性に価値を置く考え方です。人生100年時代,人々の長寿命化に伴い,そのうつわとなる建築にもさまざまな時代を生き抜く生命力が求められています。気候変動や人々のライフサイクルの変遷に合わせて,建築に要求される用途や強度・法規は様々に変化し,その加速度はさらに増しています。また,今年は14年振りに日本人宇宙飛行士候補が誕生しましたが,今後の建築は地球に留まらないかも知れません。

 形態創生コンテスト2023のテーマは「アジャイルなカタチ」です。応募者の方々が自由にテーマを解釈し,それぞれの思うアジャイルなかたちの提案を期待しています。

<審査員(敬称略、50音順)>

審査委員長

満田衛資 (京都工芸繊維大学)

審 査 員

舘 知宏 (東京大学)
鳴川 肇 (慶應義塾大学)
平野 利樹 (東京大学)

特別審査員 田村 尚土 (株式会社ディックス)
木下 拓也 (株式会社竹中工務店)

<コンテストの経緯>

形態創生コンテストでは,18作品のエントリーがあり,その内13作品が提出され,事前の一次審査(動画によるプレゼンテーション)によって入選作品5作品が選ばれた。コロキウム当日には,入選作品のプレゼンテーションおよび二次審査が公開審査により行われ,最優秀作品1作品,優秀作品2作品が選ばれた。

 2022年08月11日:応募要項に関する質疑締切
 2023年09月20日:応募エントリー締め切り
 2022年09月25日:作品応募締め切り
 2022年09月28日:一次審査(オンライン会議システムにて)
 2022年10月05日:一次審査結果の通知
 2022年11月16日:「第18回 コロキウム構造形態の解析と創生 2023」にて二次審査および表彰(建築会館ホールにて)

形態創生コンテストプレゼンテーション
形態創生コンテスト公開審査

<入選作品(氏名:敬称略)>   

■ 最優秀賞:Bind-Inflation
◯藤堂真也(東京大学)、須藤望(同)



■ 優秀賞:『弾ダンス』

◯河合晃(株式会社大林組)、渡辺隆寛(同)、藤田起章(同)、久保一晴(同)、平山和樹(同)、引田大暉(同)、近藤里帆(同)


■ 優秀賞:『風観堂』

◯福原竜也(広島工業大学)、坂本柚乃(同)

□ コンテスト表彰状授与式

 公開審査終了後に、最優秀賞、優秀賞、入選作品の表彰状授与式が行われました。

最優秀賞の表彰状授与
優秀賞の表彰状授与


■ 第18回コロキウム構造形態の解析と創生 2023 実行委員会 担当者
コロキウム実施責任者: 横須賀洋平(鹿児島大学)
コンテスト担当: 藤田慎之輔(北九州市立大学),松尾智恵(明星大学),野村圭介(東海大学),多田 聡(構造システム)
資料集担当: 高田豊文(滋賀県立大学),林 和希(京都大学),山本憲司(東海大学)
会場担当: 浜田英明(法政大学),山本憲司(東海大学)
広報担当: 横須賀洋平(前掲)
意見交換会担当: ブンタラS.G.(日本大学),永井 拓生(滋賀県立大学)
会計担当: 永田洸大(大建設計),三木優彰(東京大学)
参加登録担当: 和田大典(梓設計),木村俊明(京都大学)
若手優秀発表賞担当: 熊谷知彦(明治大学)
コロキウムHP担当: 陳 沛山(九州工業大学)
ポスター担当: 永井 拓生(滋賀県立大学)